植物の発芽と成長
種が芽を出すのに必要な3つの条件と、大きく育つしくみを学ぶ。
種が芽を出すのに必要な3つの条件と、大きく育つしくみを学ぶ。
種子から芽が出ることを「発芽」という。植物が一生を始める最初のできごとであり、何が必要かを正確に知っておきたい。
発芽に必要な条件は何か。
水・空気・適した温度の3つである。日光と栄養(肥料)は発芽そのものには必要としない。
種を水でいっぱいに満たしたコップに沈めると、発芽するか。
発芽しない。水中では空気に触れられず、種は呼吸できないためである。
発芽に日光は必要か。
不要である。種は土の中、つまり暗い場所で発芽する。日光は発芽後の成長で初めて必要になる。
発芽の3条件は「水・空気・適した温度」。日光と肥料は発芽には不要である。
種子はただのカタマリではなく、それぞれ役割をもった部品からできている。発芽のしくみを正しく理解するために、まず構造を押さえる。
種子の一番外側のカラを何というか。
「種皮(しゅひ)」という。中身を保護するはたらきをもつ。
種子の中で、発芽したあとに植物の体になる部分を何というか。
「胚(はい)」という。胚はさらに、根になる「幼根(ようこん)」、芽になる「幼芽(ようが)」、最初の葉となる「子葉(しよう)」に分かれている。
イネやトウモロコシの種子で、栄養を蓄えている部分を何というか。
「胚乳(はいにゅう)」という。インゲンマメには胚乳がなく、子葉に栄養を蓄えている。
種子の主な部品は「種皮・胚・胚乳」。胚はさらに幼根・幼芽・子葉に分かれる。
発芽したばかりの芽は、まだ自分で栄養を作ることができない。そのため、種子の中にあらかじめ「お弁当」として栄養が用意されている。
種子に蓄えられている主な栄養は何か。
「でんぷん」である。ごはんやパン、いもなどに含まれているものと同じである。
でんぷんがあるかどうかを確かめるには、何を使うか。
「ヨウ素液」を使う。でんぷんがあれば青むらさき色に変わる。これを「ヨウ素でんぷん反応」という。
インゲンマメとトウモロコシでは、栄養を蓄える場所が違う。それぞれどこか。
インゲンマメは「子葉」に、トウモロコシは「胚乳」に栄養を蓄えている。
種子に蓄えられた栄養は「でんぷん」。ヨウ素液で青むらさきになることで確かめられる。
発芽するとき、種子からは複数の部分が順番に出てくる。最初に出るのが何かを知ると、植物がどう生きているかが見えてくる。
発芽するとき、種子から最初に出てくるのはどこか。
「根(幼根)」である。芽(幼芽)より先に、根が下に向かって伸び始める。
なぜ根が先に出るのか。
土の中から水や養分を吸い上げて、芽が伸びるための準備をするためである。
根のあとは、何が伸びるか。
茎が地上に向かって伸び、続いて子葉が地表に出てくる。
発芽の順序は「根 → 茎 → 子葉」。先に根が伸びるのは、水と養分を吸うためである。
発芽したあとの植物が大きく育つためには、発芽の3条件だけでは足りない。新たに加わる条件を整理する。
植物が大きく成長するために必要なものは、発芽の3条件に加えて何か。
「日光」と「肥料(養分)」の2つである。あわせて成長には合計5つの条件が必要になる。
なぜ日光が必要なのか。
植物は葉で日光を受けてでんぷんを作るためである。日光が当たらないと、十分な栄養を作れない。
肥料は具体的に何のはたらきをするか。
土の中に不足しがちな養分を補い、葉や茎を丈夫に大きく育てる。
発芽の3条件+「日光・肥料」=成長の5条件。
成長に必要な条件のうち、1つを欠くと植物はどのような姿になるか。実際の見た目で覚えると、条件の意味が実感できる。
日光を当てずに育てた植物はどのような姿になるか。
茎が細く白っぽくひょろ長く伸び、葉の色がうすくなる。もやしがその典型例である。
肥料を与えずに育てた植物はどうなるか。
日光は当たっても、全体が小さくて元気がない姿になる。葉も大きく育たない。
「ひょろっと白い」なら日光不足、「小さく弱々しい」なら肥料不足と判断できる。
植物は自分で栄養を作ることができる。動物にはできない、植物だけの大切なはたらきが「光合成」である。
光合成にはどんな材料が必要か。
日光・水・空気中の二酸化炭素の3つである。これらを葉で組み合わせる。
光合成によって何が作られるか。
「でんぷん」と「酸素」である。でんぷんは植物の栄養となり、酸素は空気中に放出される。
光合成が行われていることを確かめるには、どうすればよいか。
葉をヨウ素液にひたして色の変化を見る。日光に当たっていた葉は青むらさき色に変わり、でんぷんができていることがわかる。
光合成は「日光・水・二酸化炭素」を材料に、葉が「でんぷん・酸素」を作るはたらきである。
植物は子葉の枚数によって、大きく2つのグループに分けられる。仲間分けを覚えると、植物の特徴が予想しやすくなる。
子葉が2枚の植物のなかまを何というか。
「双子葉類(そうしようるい)」という。インゲン・ヒマワリ・アサガオ・サクラなどが含まれる。
子葉が1枚の植物のなかまを何というか。
「単子葉類(たんしようるい)」という。イネ・ムギ・トウモロコシ・ユリなどが含まれる。
栄養を蓄える場所にも違いがある。それぞれどこか。
双子葉類は子葉に、単子葉類は胚乳に栄養を蓄えていることが多い。
子葉2枚なら双子葉類、1枚なら単子葉類。栄養の蓄え場所も異なる。
種子の中には温度計のような器官はない。それでも、種はちゃんと「あたたかさ」を感じて発芽する。そのしくみを支えているのが「酵素」である。
酵素とは、どんなはたらきをするものか。
生き物の体の中で、化学反応をスムーズに進める小さな「化学屋さん」のようなはたらきをもつ物質である。
酵素は温度によってどう変わるか。
寒いとほとんど動かず、あたたかくなると活発に働き始める。発芽はこの酵素のはたらきで進む。
種類によって発芽しやすい温度が違うのはなぜか。
もっている酵素の種類が違い、よく働く温度も違うためである。イネは暑めが好き、レタスは涼しめが好きである。
種は「温度を感じている」のではなく、温度によって酵素が動き出して発芽が始まる。
「発芽に水が必要」と確かめるには、どう実験すればよいか。答えは「他は全部同じにして、水だけ変える」である。これを対照実験という。
なぜ複数の条件を同時に変えてはいけないのか。
もし発芽しなかった場合、どの条件のせいかが分からなくなるためである。
対照実験の基本的な進め方は。
基準となる「すべてそろえた条件」を1つ用意し、他は1つだけ条件を抜いたものを並べる。結果を比べることで、抜いた条件のはたらきが分かる。
「1つだけ変えて、他は全部同じ」が対照実験の鉄則。原因をはっきりさせるための科学の基本である。
発芽したあとに最初に開く2枚の葉は子葉である。種子のお弁当を芽に届ける役目をもつが、しばらくすると黄色くなって落ちてしまう。そのわけを考える。
子葉はやがてどう変化するか。
黄色く変わり、しおれて、最後には落ちてしまう。
なぜ子葉は落ちてしまうのか。
蓄えていた栄養(でんぷん)を芽の成長に使い切り、役目を終えるためである。
子葉が落ちる頃、植物の体ではどんな葉が活躍し始めているか。
「本葉(ほんよう)」と呼ばれる新しい葉である。本葉は光合成によって、自分で栄養を作り出すことができる。
子葉は種子の「お弁当」。栄養を使い切ったら役目を終え、本葉が光合成で自給を始める。